ある日のこと、中学3年の反抗期真っ盛りの子ども二人が、洋服を買いに付き合って欲しいと言ってきました。 担当職員の許しをもらい3人でやおら吉祥寺に出かけ、それぞれ好きな洋服を選び、ぶらぶらと吉祥寺を散歩して、 有名な焼き鳥屋さんを見つけました。広い店内は満員で道路にも人がいっぱい、その人込みを掻き分け、3人分を焼いてもらい、 歩道のガードレールに腰をかけ、熱々の焼き鳥を食べながらとりとめもない話をしていました。
  S君がボソッと「母親が何処にいるかわからないから探してよ」と話し始めました。 「最後に住んでいたのはO市で、自分で行ってみたけどいなかった。路上生活でもしているのかと心配だ」 「卒園して働くようになったらお母さんの面倒をみたいんだ」と語る子どもの表情は、普段の反抗期の顔とは違う穏やかなやさしい顔でした。 するともうひとりのK君が「大変だなあ。俺の母さんは、弟を育てながら働いていて、お金がたまったら引き取ってくれるんだ」 と何の屈託もなく話していました。でもその彼も乳児の時から何回かの施設変更を重ね、1年ほど前にサレジオにやってきた子どもでした。
  母親を求め、信じ、夢をつなぐ子どもたちに、心ふさがる思いがするのと同時に、 たくさんの優しい思いを持ったこの子たちが一日も早く夢を叶え、幸せになることを痛切に祈らずにいられません。

  親と子どもの関わりが変わってきている中で、学園にやってくる子どもたちの環境に思い至る時、 子どもたちが背負っているものの重さに切なくなるこの頃です。
  児童養護施設東京サレジオ学園では、この20年余、新しい施設作りを目指して、
○子どもが自分は愛されていると感じられるように、一人ひとり個別に大切に慈しみ育てていこう。
○子どもの生活環境を贅沢ではないけれど美しいものに。