ドン・ボスコ  九才の夢
2007年度を振り返ってみると、多くの問題や課題に直面し、それをくぐり抜けてきた1年であった気がしている。何事も起こらず平穏な日々をと願いつつも、多感な年頃の子どもたち100余名が生活を共にしている学園であるから、多少のことは想定内と心得、子どもたちにとって良い結果につながる対応をかかわりの中で実行することが肝心と思っている。
  東京サレジオ学園の養護の柱は言うまでもなく「受容と傾聴」「支持的かかわり」である。十数年前、学園がそれまでの施設特有の集団養護体制維持のために用いていた規則ずくめの日課や自立のために必要との考えから行なっていた当番制や厳しい指導、ペナルティなどをやめて現在の養護理念を導入したことは決して間違っていなかったと思う。
  今思えばまさにコペルニクス的転回であった。つまり子どもと日常的にかかわる生活施設として職員中心の指導スタイルから、そこに暮らす子どもたちに重心をおいた生活様式への意識変容であった。昭和62年前後に完成した現在の建物群は、それまでの学園の処遇形態を大きく変えた。よく言われる収容所的な生活様式から、それぞれのグループで活動ができる分散園舎方式に変わって、より変化に富んだ生活が可能となったことは事実である。ハードは素晴らしく変わった。しかしソフトは依然として旧来のままであった。確かに規則ずくめの日課や当番制や厳しい指導を行なえば、きちんとしているように見え、良い学園生活が営まれているように見える。職員側から見ればそれは自分たちの力量とも映るだろう。しかし一歩子どもの側に立てばそれは「管理」であり、養育ではない。生活ではない。暮らしではない。
  養育のあり方の意識改革は一朝一夕には形成されない。学園も生活様式が分散園舎方式に変わって後、十数年たってようやくソフト面の改革の兆しが表れた。