1.「受容と傾聴」「支持的かかわり」を実践する。
東京サレジオ学園の養護理念は「受容と傾聴」「支持的関わり」である。これは職員がアッシステンツァ(寄り添う)の心で子どもたちの安心安全な生活を作り上げていくことを求めている。職員は子どもたちのさまざまな表現の中から痛切な願いに気づいて、子どもたちが受け入れられ、大事にされている実感をもてるように心がける。

  さまざまな課題を抱えて学園にくる子どもたちを安心安全な環境で育てていくためには、子どもたちに「しっかりと受け止められて、大事にされている実感」をもってもらうことがとても重要である。しかし子どもたちの日々の言動のすべてに対応するのは並大抵の労力ではない。そうした中で、できうる限り子どもたちをしっかり受け止め、細やかな関わりをもっていくことで、思春期を終える頃には子どもたちの激しさはおさまり、それぞれの将来を見すえて確かに歩みはじめる。そのことを職員たちが共通の理解としつつあることは大変ありがたく、また重要なことであると思う。そこには個々の職員の自身との戦いがある。苦しい作業ではあるが、これを乗り越えていくことがもっとも肝要ではないかと思う。

2.経営改善に一層取り組む。
これまで子どもたちへの支援の質を維持継続していくために、財務収支の均衡に努めた結果、一定の成果が得られたものの、なお一層の努力が必要であるので、引き続きスタッフ会議を中心に経営改善に取り組む。

   月に一度スタッフ会議で月次報告を精査し、予算の執行を厳格に行なった。設備機器などについては各種の補助金制度を探し、それに充て、子どもの生活に無理のない範囲で施設の自己負担金を減らした。ガス・灯油などについては各棟の使用量の一覧表を作成して、削減を促した。避難誘導灯の改修については工事を一括依頼せず、機器購入と取り付け工事を別業者に依頼する等、細かな削減努力を続けた結果、収支均衡がはかれた(別掲参照)。

3. 創立70周年のための準備を行なう。
昭和21年4月に創立された東京サレジオ学園は平成28年度に創立70周年を迎える。その記念事業として祝賀行事と大規模修繕を構想している。また、これからの学園を考える準備段階として、小規模化・家庭的養護推進検討チームを立ち上げる。

   広報誌「ほとす」の発送に合わせて、70周年記念に向けてのお願いを関係者に送付し、さまざまなかたよりご寄附をいただいた。修繕については規模の見直しを行なった結果、記念のシンボル的改修工事として、平成27年度に小聖堂の外壁の改修を寄附金で行なうこととした。引きつづき他の部分の改修については寄附金をお願いしていきたい。

4. 防災の意識を高め安全管理に取り組む。
平成23年3月11日の東日本大震災から早や4年を迎える。その教訓を生かしながら、子どもたちがみな安心して安全に暮らせるよう、消火訓練、避難訓練、大規模災害への防災対策など、安全管理に積極的に取り組む。また、子どもたちが健康ですくすく育つよう、食品衛生、健康管理に力を入れる。

   防災については消火訓練、避難訓練を計画通り実施した。衛生管理、健康管理にも食事部会、安全衛生部会と連携し、食中毒の発生、流行性感冒などの流行を抑えた。ただ、年度後半に2階からの幼児転落事故が発生した。幸い大きな怪我には至らなかったものの、とりわけ幼児の安全には気をつけねばならないとあらためて反省させられた。対策として、幼児に開けられないよう2階窓枠にストッパーをつけた。

5. 職員の支援力の向上に取り組む。
近年、学園はさまざまな重い課題を抱えた子どもたちを受け入れてきている。そこで、専門機能強化型児童養護施設として実施計画を定め、実施する。顧問精神科医により、早期の検査治療対応を行なう。また、施設運営向上事業として、職員が子どもたちの「愛着の器」になる処遇スキル向上のために「愛着再構築プログラム」研修を今年も引き続き実施する。その他、長年築き上げてきた養育環境をより良いものに高めるため、臨床心理士等専門家による職員の個人及びグループスーパービジョンを併せて実施していく。

   専門機能強化型児童養護施設として、顧問精神科、および心理治療の専門家との連携を深め、通院治療、服薬治療、生活環境の安定に努めた。また、子どもたちを適切に受け止めていけるように、愛着再構築プログラム研修を年6回開いた。その中で職員自身の生い立ちを確認しながら、子どもたちを受け止めていくうえでの職員個々の課題などを見つめ直した。

6. 園舎内での子どもたちの生活安定に努める。
子どもたちは園舎内での生活が安定してはじめて、周囲との良好な関係や学習への意欲、さらには将来への夢を描くこと、また心理治療などをほどこすことが可能となる。したがって、寮長をはじめ園舎に配属された職員は相互の意思の疎通をはかり、協力して子どもたちの成長に寄り添い、子どもたちに自信とエネルギーが満ちてくるような関わりに努める。

   子どもたちの感情コントロールがうまくいかず、物が壊れてしまったり、暴力が出てしまったことなどあったが、昨年度に比べれば大幅に減ったといえる。園舎間の職員の助け合いなどもあり、落ち着いて問題の解決に当たれるようになったのではないかと思う。職員が孤立しないように、スーパーバイズが受けられるように配慮した。学校とも協力が進み、担任やスクールソーシャルワーカーの方が個人への対応をきめ細やかにしてくださることで、不登校状態から抜け出せた子どももあった。また、学習ボランティアのご協力をいただき中高生の学習意欲が確実に向上してきた。大変うれしいことである。

7. 子どもたちの生活の質の豊かさを目指す。
子どもたちにとって今も、そして将来も「温かな家庭」が必要である。子どもたちが温かな家庭像を自分のものとしていくためには、各園舎での生活が衣食住にわたって心をこめた充実したものでなくてはならない。そのために子どもたち一人ひとりに合った被服の状況の把握、園舎調理を行ないながらのより良い食生活環境、一人ひとりのために心を込めてしつらえられた部屋、住環境(ハウスキーピングの実践)が維持されているか、日日振り返りながら家庭的な豊かな生活のあり方を求めていきたい。

   学校への付き添いや対応などで十分な時間がとれず、整った住環境を維持することが難しく、子どもたちの心の安定のための整理整頓の大切さを痛感した1年であったように思う。子どもたちの社会経験のために、多くの園舎が一対一の外出を実行していた。これは子どもと職員がしっかりと結び付く、とてもよいことだと思う。子どもの服装などもコーディネートに職員のセンスと愛情が感じられた。お祝いの時や行事等の時の服装も身についた着こなしになってきた。

8. 関係機関及び家庭との連携を強化する。
関係機関及び家庭との連携(ソーシャルワーク)は家庭と子どもたちの関係修復支援を目指す学園にとって重要な仕事である。家庭支援専門相談員や園舎寮長を中心に関係機関及び家庭との報告・連絡・相談を確実に行ない、連携を強化する。

   今年度家庭復帰は3件であった。児童福祉司との面談や親御さんとの協議にはできる限り家庭支援専門相談員が同席して家庭状況を把握し、園舎寮長のサポートを行なった。親御さんの育児の悩みなどを家庭支援専門相談員が聞き、真摯に受けとめた。学園には毎日のように児童福祉司が来園されており、児童相談所との関係は深い。また、今年度からは特に新入所児童や入学する子どもたちの生活状況や家庭背景などを児童福祉司と学園管理職が学校に出向いて説明する等、個人情報の保護に努めつつ学校と共有すべく努力した。その甲斐あってか以前に比べ、協力関係が進んできたように感じる。

9. 地域と共にある学園を目指す。
学園は地域の方々に働きかけ、支えられることによってその活動が社会化される。子どもたちの社会性をつちかう観点からも、地域との交流は子どもたちの生活にとって大切である。個人情報の保護・管理に適切に配慮しながら、子どもたちが地域社会でのびのびと活動し、共に育ち合うために職員は地域社会との協力、連携に努力する。また、学園は地域支援の観点から近隣3市(小平市、国分寺市、東村山市)からの「ショートスティ事業」の要請を引き続き受け入れ実施する。また小平市の要請を受け入れ、学園グラウンドを災害時の広域避難場所として提供する。(平成25年4月1日協定済み)

   ショートスティは3市併せて136件(宿泊)、9件(日帰り)の依頼があり、実施した。地域との交流については、青少対三小地区のお祭りなどに積極的に参加し、また「三小ちゃんみまもり隊」に参加して、近くの交差点で園長が毎朝の登校見守りを行なった。また地域からのご意見に関してはできる限りの対応を行なった。

10. 関係法令を遵守する。
学園は子どもたちの安心安全を守り、適切な養育がなされるように、児童福祉に関する法令及び宣言・憲章・綱領等に掲げられた理念と定めを遵守する。

   関係法令等の遵守についてはスタッフ会議、全体会議を通して職員への指導に努めた。
 
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