1.はじめに
高校生園舎への移動、家庭復帰もない状態で新学期が始まり、常勤職員も変わらなかったことで落ち着いたスタートを切ることができた。6月に4歳児の入所を迎えたが、子どもたちの基本的な信頼関係ができていたので、さらに良好な関係を深めていくことを目標に今年度は望んだ。非常勤職員が代わり、常勤職員には多大な負担をかけたこと、そのことで子どもたちにも多少不安があったかもしれないことが反省点である。

2. 実践目標について
職員が子どもたちと「アッシステンツァ(寄り添う)」を意識しながら、信頼関係を築けるように心がけた。高齢児が多く、職員と一緒に何かをするという機会は少なかったものの、幼児や低学年の小学生が就寝した後には中学生、高校生と話をしたり勉強をしたりして時間を共に過ごした。幼児や小学生に対しては買い物や通院など一対一での外出などを行なった。
  受験生A君は入園してから登校渋りもなく、勉強に関しても特に心配していなかったが、中学校で登校できなくなった。自分の気持ちを相手に伝えることが苦手で、そうした自分への不甲斐なさから登校渋りが始まった。担任の先生と話し合いを重ね、通級の教室に通うことになった。受験校も担任の先生、通級の教室の先生と協議し、変更することになった。本人とも受験校の件で話をして学校説明会へ行ったり、受験するには何が必要かなど何度も話し合いを重ねた。通級の教室には午前中だけだが毎日通い受験準備を整えていたが、面接練習中に先生からの質問に対してうまく受け答えができず、暴言を吐いたり泣いてしまって帰ってくることもあった。そういったことが続き、また受験校を変更しようか迷っていたが、「今考えている高校を受験したい」というA君の希望もあり、変更せずに受験日を迎えた。結果発表まで本人、職員共に不安はあったが、見事合格することができた。今後も新たに困難な壁に行きあたることはあると思うが共に乗り越えていきたいと思う。A君は中学2年生で入所、すでに中学受験を経験していた。その中学受験が1つの要因として入所に至っていた。入所してからは学校の勉強もそつなくこなしており、英検も受けて合格していた。その様子を見ており、今回の受験も大丈夫だと勝手に思い込んでいた。しかし、中学受験時のトラウマが高校受験で再発し、こうしたことが今回出てきた。成育歴や入所前の経緯を担当福祉司と話し合ってはきたが、事前の対処が行き届かず、想定以上にA君を苦しめてしまったことを後悔し反省している。
  この後悔を踏まえて、子どもたちの成育歴を園舎職員がもう一度丁寧に見直し、どこに重きをおいて会話をするか、対応をしていくかを検討し直し、今後も子どもたちに真摯に寄り添っていきたいと思う。
  衣食住の大切さを意識し、園舎を心地よい環境に整えることを目標を掲げた。おやつは手作り(ケーキ、大学芋、ゼリー、プリン、シュークリームなど)で出すことも多かった。食事の自主献立の日には子どもたちと一緒に買い物に行き献立を考えたり、職員の得意な料理を出したりした。職員が作った料理をおいしいと言ってくれる子どももあった。一般家庭でのお母さんの味のように、子どものころに食べた料理を「あの職員はこんな味付けだったな」とか「この味懐かしい」などと大人になってから思い出してくれれば嬉しく思う。料理やおかし作りを手伝ってくれる子どももいて、そこから何気ない会話が生まれる。子どもたちが親になり子を育てる年齢になった時、そうした日々の親子のコミュニケーションが自然に当たり前のこととしてできるよう、職員は意識しながら接していきたい。
  ハウスキーピングに関しては反省が多いにあった。子どもたちが落ち着いていることもあり、ものが壊れたりガラスが割れたりすることはなかったが、リビングには常に誰かの私物が置いてあったり、居室の床に物が落ちていたりと職員が片付けの見本を示さないといけないはずのところができていなかった。一見綺麗にみえても実際どうなのかということを意識しながら来年度は取り組んでいきたい。また見学会で外部のかたに見ていただく機会を作り、第三者の目にはどう見えているか、職員が客観視できるよう意識を高めていく方策を考えたい。

3. おわりに
この一年間を振り返り、一人ひとりの度合いは違うが、どの子どもも確実に成長している。身体面では身長が10センチ以上伸びた子もいれば、なかなか伸びずに悩んでいる子もいる。私たち職員は目にみえない小さな成長も見逃さず留意しながら、それぞれに見合ったアドバイスをわかりやすく伝えていかなければならない。個々の小さな成長にも気づくために、子どもたちとの日々の会話を大切にし、アッシステンツァの心で信頼関係を築き、向き合っていきたいと思う。
  子どもたちに関わっていただいたすべてのかたがたに心より感謝いたします。
  今後も安全で穏やかな生活と子どもたちの将来のために職員同士が協力し合っていきたい。

 
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