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子どもたちの生活

学園生活(2016年園舎報告)

園舎報告1

1.はじめに

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今年度は新しく高校1年生を1名迎え計6名でスタートした。
高校生3名は無事進級を果たすことができた。新しい生活への適応、卒園を迎える1名の進路決定について支援を行なった。
また、落ち着いた園舎を維持し、児童同士の人間関係にも気を配り、それぞれの生活に集中できる環境を提供することができた1年となった。

2. 生活

日常生活で大きく崩れてしまう児童はおらず、落ち着いた状態を継続することができた。ただ、基本的な生活習慣がなかなか身につかない児童もあり、清潔感を感じられる居室の清掃、整理には課題が残った。来年度も努力したい。

3. 学校、学習

学習ボランティアの3keysの利用は1名が1年間継続して、進路の決定や卒園に役立てた。新生活を始めた3名の高校1年生のうち、1名はほとんど欠席なく進級を決めた。
2名は6月に不登校状態になり、うち1名は2年次からの登校復帰を目指したが、体調や精神面での安定が見られなかったこと、措置中の高校卒業を考えたいという本児の意向もあり、通信制サポート校への転校を進めることとなった。
もう1名は特別支援高等学校ということで進級や卒業には影響がないため、登校復帰を目指しつつ、同時に卒業後の進路について早い段階から準備をしていくこととなった。高2児童は進級を無事決め、卒業後の進路を考える1年となった。
当初は公務員を目指していたが、学校の成績を伸ばし、大学進学への意欲をもつようになったため、来年度の早い段階で最終的に決断し希望する進路に向かうことができるように準備したい。
高3児童も無事進級を決め、卒業後の進路も就職ということで変わらず準備を進めていきたい。公務員試験へのチャレンジも希望している。
高校4年生の児童は無事卒業単位を取得し、専門学校も合格し新しい進路を決めることができた。

4. 家庭、児童相談所

卒業を迎える児童に関しては、親との関係に配慮しながら、しっかりと自分の意思に沿った生活を送ることができるように児童相談所との連携をとり、卒業前には親との面会も行ない関係性の整理もすることができた。
また、高3児童に関しては、児童相談所と連携し兄弟交流を定期的に実施し、親との面会も実施することができた。高2児童に関しては月1回程度、親と職員との情報交換の場を設け、卒業後の家庭復帰も視野に入れた関係継続に努めた。
高1児童については、2か月に1度の児童相談所への通所を実施し、本児の状況を継続的に見てもらいながら情報交換に努めた。もう1名については学校との関係者会議を実施したり、本児との面談を実施したりしながら、本児について理解してもらうと共に今後の学校生活や学園での生活について相談していくことができた。
もう1名については必要に応じて児童相談所や親との連絡を取りあって対応した。

5. コミュニケーション

個別に話をする時間を日常生活の中で意識的に設け、子どもたちが困っている問題にできる限り迅速に対応することに努めた。
その結果、職員への一定の信頼を得ることができて、安心感をもって園舎での生活を送ってもらうことができたのではないかと感じている。

6. 医療機関

定期的に医療機関にかかったのは3名で、それぞれ月1回の通院に同じ職員が継続して付き添うことによって、先生と職員、また児童と先生との信頼関係の元に治療を進めていくことができた。治療や服薬の必要性を職員も正しく理解し、児童理解を深めていくことができた。

7. 自立

今年度は1名が学園を巣立っていった。進学を希望し、自分なりに将来について考え専門学校を受験・合格、やりたい分野での挑戦を始めることとなった。
当初は福祉系大学への進学かコンピューターグラフィックスや電子関係の分野かの二択で悩んでいたが、高校の部活を通して3DCGに出会い、その分野の面白さや将来性に魅せられ決断することができた。奨学金などの経済的援助の体制は近年改善されてきているが、まだまだ四年制大学を普通に希望できるような状態ではない。
幅広い将来を選択できるよう、より一層の奨学金制度の充実を期待する。
親との関係は拒否を続けてきて、卒業後も支援を受けずに自分で生活していくと決めた。
そう決めてからは、親に対しても一社会人として最低限のマナーをもった付き合い方ができるようにに変化していき、卒業前にはスーツ姿で会いに行き、自分の選択した今後の人生について自信をもって報告することができた。
彼の成長に感心したと同時に、今後の彼の人生に期待したい。

8. おわりに

今年度もご支援いただいている皆様のお蔭で、子どもたちが健やかに事故にも遭わず過ごすことができたことを感謝したい。個別に話をきくと、子どもたちの悩みの多くは人間関係に由来していることが多い。
人間関係を円滑に保つことがどれだけ大切か再認識させられた。お互いのプライバシーを尊重しつつ、適度な距離感をもって子どもたち同士関わることが大切である。子どもたちの口からも「親しき仲にも礼儀あり」という言葉も出てきたりして感心させられた。相手の状況や気持ちに思いを向ける姿勢を身につけてほしいと思う。
職員も子どもたちのモデルとなれるよう精進し、成長の糧となるような生活の場を提供していきたい。

園舎報告 2

1.援助方針

 子どもたち一人ひとりが安心感を得られる園舎づくり。現在の生活だけではなく、自身の過去や未来に対しても、一貫した安心感を得られる園舎作りを目指したい。

2. 現在の安心感づくり、知性や感性(=情操)を育む

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 ここ数年、子どもたちの支援のなかで、知性や感性がどの時期にどのように養われていき、どのような形で個々の子どもたちの生活に表れていくのか実感できるようになった。
  情操を養うことは、すなわち、生きる力を身につけることである。生きる力を身につけた子どもたちは、この先のさまざまな環境のなかで、自らの力で社会を生き抜いていける。時代の変化と共に、今の子どもたちの生きていく環境は多様化してきており、そもそも情操教育という概念自体が揺らいでいるようにも感じる。
 ただ言えることは、私たちは人間であり、生き物である。ロボットのように人工知能の機械ではない。知性や感性という、生まれ持った能力を最大限に活かしていくことが「生きる」ということなのである。当園舎では日常生活のなかで、物事を知り・考え・判断する力を自然と養える環境が整えられていると思う。
 園舎で長年大事にしてきたものが少しずつ成果として表れてきている。園舎の枠を越えて情報を共有し、学園全体が良い方向へ向かうように働きかけてきたい。

3. 過去への安心感づくり、関係機関との連携

 今年度のケースワークの情報共有については、昨年度の試験的な変革期に比べ、あまり積極的に運営できなかった。
 学園FSWや学園心理への定期的な報告や、園舎独自の支援計画ファイルについても昨年度と同じやり方では共有が難しくなり、寮会議での確認のみとした。ただ、寮会議は常勤職だけの参加であり、園舎の職員全体での共有や検討まではいけなかった。
 常に職員全員で検討をするような場を設けるのは現実的に難しいが、それぞれの意見や考えを出しやすく、また反映できるようなシステムや雰囲気を作ることを大切にしていきたい。

4. 未来への安心感づくり、基礎学力の習得・向上

学習支援については、園舎において可能な支援として、とても質の高いものができていると感じる。
12人の子どもたち一人ひとりに合った学習支援をしようとすると限界があるのも現実である。
日常業務をしながらの学習支援の、更に上を目指した学習サポートをするのは厳しい状況といえる。
学習の基礎は、できるだけ早い時期から身につけさせたい。特に学園のような集団生活内での学習形態では、早期からの学習支援に不足が生じやすく、結果として不登校や学習の遅れに繋がっていると感じる。
学習ボランティアの活用や習い事を通して、子どもたちの将来のための質の高い学習支援を展開していきたい。

5. 職員の育成

 職員のスキルアップ、キャリアアップについては、実際には職員一人ひとりの目指すべき道や、求められている知識や技術が曖昧であり、職員が自発的にスキルやキャリアを磨きたいと思えるようになる雰囲気が形成されていないと感じる。
 自分自身、早い段階で寮長という立場になったものの、この先の目指すべき道や求められている道が不明瞭であり、学園に有効なスキルを十分に磨けていないのが現状である。その結果、園舎の職員に対しても有効なスキルアップを提示できず、職員の意欲の低下に繋がったと感じる。
 来年度、学園がキャリアアップや職員のスキルアップについてあらたに取り組み始めるので、本舎もその流れに乗れるようにしたい。昨年度や今年度は2番手3番手の職員に対して必要な育成やスキルアップ・キャリアアップの提示ができていなかった。それぞれの立場や経験年数を踏まえたうえで、学園という大きな組織の中でお互いに良い循環を生み育成し合えるようにしていきたい。働くことをどう捉えるかは人それぞれであり、さまざまな形があっていいと思う。
 その人がその人らしく働ける職場を今後も大切にしていきたい。

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